【ラムネ2(ねこねこソフト)】「やかま」な後輩との「良い日常」の魅力
「日常系」というジャンルの人気が高まって久しい。
数年前の異様な熱狂ぶりこそ収まっているかもしれないが、それでもなおアニメ・漫画業界の主流ジャンルの一つであることは間違いない。
エロゲにおいても昔から人気のあるジャンルで、それ故に半端な作品ではその数に埋もれてしまうだろう。
今回は、2004年にねこねこソフトより発売されたエロゲ『ラムネ』の13年ぶりの続編『ラムネ2』について、主に「日常系」としての面に焦点を当てて綴っていきたい。
「焦点を当てて」などと書きはしたが、そんなことを考えずとも『ラムネ2』はとにかく「日常系」である。
主人公にもヒロインにも特殊な能力などは一切なく、作中では大きな事件なども起きない。
恐らく作品のコンセプトとして「日常を楽しむこと」を主目的に置いているのだろう。
「複雑で壮大なストーリーを書くのが面倒くさいから「日常系」でお茶を濁しているんじゃないか」という批判をする輩もいるかもしれないが、私はむしろ逆だと考える。
確かに「日常系」は万人受けしやすく、「そこそこのモノ」を作るにはうってつけのジャンルであろう。
しかし、大事件が起こらないという制約の中で本当に人の心に刺さるものを作るというのは至難の業だ。
『ラムネ2』は、日常描写の「雰囲気の良さ」で常に私の心を揺さぶり続けた。
この「雰囲気の良さ」というのは文章で伝えるのが非常に難しく(筆者の力量不足もあるが)、また「ストーリーの良さ」以上に人によって好みが分かれるだろう。
例えば映画『ショーシャンクの空に』の良さは、難解な箇所はほとんどなく映画の最初から最後まで完璧に組み上げられたシナリオであろう。
それに文句を付ける人は少ないだろうし、その「ストーリー」という大きな魅力が多くの人に愛される最大の理由だろう。
逆に『横道世之介』という映画は、ストーリーにあまり起伏のない、世之介の周りで起こるちょっとした出来事をのんびりとほどよいコミカルさで描く作品だ。
良い意味での「雰囲気映画」なのだが、それが琴線に触れない人にとっては『横道世之介』は凡作に成り下がるようで、かなり賛否は分かれているとのことだ。
話を『ラムネ2』に戻そう。
そんな「雰囲気の良さ」を推したい本作であるが、中でも特に気に入っているのがこのシーンだ。
「放課後になった」というただそれだけの言葉。
立ち絵もなくただ空だけが映される画面。
しかし、このシーンこそが『ラムネ2』という作品のエッセンスが凝縮されたシーンなのだ。
神谷の「やかま」っぷりがこの一言に端的に表れており、「ウザい」と言いたくなるけれど、そのウザさが愛おしくてしかたないという感情が湧き上がってくる。
「放課後」というだけでそれが一つのイベントとなる作風も象徴している。
そして、何よりも感じる、夏――。
未プレイのかたは、是非ともご自身でプレイしてみて、この「雰囲気の良さ」を感じていただきたい。
www.youtube.com明るい曲なのに、聴いてると何故か涙が出そうになる。
初代『ラムネ』の主題歌「ラムネ」(歌:Duca)
www.youtube.com2の曲も好きだが、一番好きなのはこの曲だ。