Do you see the GIRL

元・アニメ制作進行の自分が、アニメを見ての感想だったり、映画を見ての考察だったり、エロゲをやって勃ったことだったりを書いていくブログです。

【O/A(渡会けいじ)】ラジオ愛から生まれた漫画

第3回は漫画「O/A」について。
http://www.amazon.co.jp/dp/B00932PDYE

O/A」は2009年から2012年までヤングエースで連載された漫画です。
作者は渡会けいじ先生。(画風はpixiv見るのが早いかと)

www.pixiv.net
アイドル・堀内ゆたかと芸人・田中はるみの二人一役のラジオ番組の様子、またその二人の成長を描いた作品です。

作品の傾向としてはかなり下ネタが多いです。
と言ってもおっぱいボロンでいやんまいっちんぐ的なモノではなく、うんこだのうんこだの笑い飛ばせる系です。
でもアイドルが開けっぴろげにうんことか言うのって、それはそれで興奮しません?

全7巻の作品ですが、いくつかに焦点を絞ってお話ししていきます。


サブキャラ里愛(リア)ちゃんがとにかくかわいい

いきなりサブキャラの話から始めるのもどうかとは思いますが、僕は主人公ゆたかのライバル海江田ミホの後輩ユニット「Marine(マリーン)」の里愛(リア)ちゃんがめちゃくちゃ好きです。
サイドテールにジト目のややギャルっぽい喋り方の女子中学生。
特徴を並べただけでも素晴らしいと思いませんか?
さらにこの子、アイドルとしてステージに立つときは目をパッチリ開いて「アイドル」の顔になる。
アイドルの子の二つの面を見ることができる一粒で二度美味しいキャラになっています。
登場回数がさほど多くないのが残念ですが、その中でも確かな魅力を見せてくれるキャラです。

 

ゆたかの姉さやかのエピソード

単行本5巻24話と25話はゆたかの姉さやかに関する話になるのですが、全体的にギャグ路線なこの作品において、ここは単純に「いい話だなぁ」と思えるお話でした。

完璧すぎる姉さやかに対するゆたかのコンプレックス。
そんな姉さやかの結婚。

話としては短いながらも、姉妹愛を丁寧に丁寧に描いたエピソードでした。
特に5巻のラストシーンは心がじんわり温かくなります。
(直後のあとがき漫画での「余計なお世話」も凄く好きでした)

作者の渡会先生は一つ一つのエピソードの組み立て方が凄く上手な方だと思います。
当たり前ですが、起承転結がしっかりしていて、読者に伝えたいことが明確というか。
しかもそれがいちいち説明臭くなく、自然に読み進めることができます。

さやかのエピソードはそんな渡会先生の良さが詰まったお話だったと思います。

 

小ネタ・パロディ

この作品というより作者の渡会先生の特徴なのですが、小ネタ・パロディがいちいち面白いです。
有名でオタク受けするタイプのパロディもなくはないですが、映画好きや音楽好きが好みそうなややニッチなパロディが多いです。
あと何故か「沈黙の艦隊」ネタがやたら多い。
僕は沈黙の艦隊を読んでないので気付いてないネタも多そうなのですが、何故かやたらに出てきます。
好きなんだろうなぁ…。

21話はサブタイトルからして名作映画そのまんまの「ニュー・シネマ・パラダイス」。
扉絵に4枚の絵が描かれているのですが、それぞれ「レオン」「ブレードランナー」「パルプフィクション」「ショーシャンクの空に」のパロディ。
他にも随所にパロディは出てくるので、それを探しながら読んで見るのも面白いかも知れません。

 

6巻の勢い

全7巻の中でエンタメ作品として群を抜いているのが6巻。
5巻の「いいハナシ感」を全てなぎ払うような怒濤のエピソードの連続です。
ゆたかがラジオリスナーへのプレゼントを100km走って届ける企画で、ゆたかが途中で何かに目覚めてしまい、槍ヶ岳や富士火力演習場をもひたすら走り続けるというぶっ飛んだ話。

そしてさらにぶっ飛んだ話になるのがその次の回。
アメリカ軍の原子力潜水艦の乗組員たちが任務中にラジオのチャンネル争いを繰り広げ、最終的には聴取者プレゼントを受け取るために原潜で横須賀港を訪れます。
恐らく上述の「沈黙の艦隊」に影響受けまくって描いたのかと。
好きなことを詰め込みまくって、それがオナニーにならず知らない人が見てもちゃんと面白いのが凄いですよね。
こういうことができる人って羨ましいなぁと思います。

 

まとめ

「ラジオ」という、言ってしまえば地味なテーマですが、話作りの上手さとオタク心をくすぐるギャグ・パロディのセンスでここまでのエンターテインメントに仕上がっているこの作品。
僕の最も好きな漫画の一つです。