【ローリング☆ガールズ第8話】やはり団長のお二人さんは愛し合っていた!!
もし僕が「話数単位で選ぶ~」で一つ選ぶとしたらこのローリング☆ガールズ第8話が間違いなくトップです。
実際、2015年のランキングでは3位にランクインしたそうです。
それほどにこの話数が与えた衝撃は計り知れないものでした。
放送当時、思わず立ち上がって拳を握ったことは今でも鮮明に覚えています。
ローリング☆ガールズで白眉と称されることも多い第8話ですが、とりあえずいつも通りシーン順で追っていきましょう。
今回はアバン(OP前のパート)がかなり短めです。
本作は全体を通してアバンが長めだったので、この時点でどこか今までと違う雰囲気を漂わせています。
そういえば今の深夜アニメってアバンがあるのが多数派ですけど、一昔前や夕方のアニメなどはアバンがない方が多いような気がします。
演出的な意味合いで視聴ターゲットによってこれを変えているのでしょうか。
アニメのアバン文化について詳しい方がいらっしゃったら教えてください。
話は本編に戻ります。
フェスのポスターがまだ下書きまでしかできていないとのことで結季奈が清書を行うことに。
案の定ミサワ絵になって、結局シルエット処理にされてしまって結季奈は落ち込みます。
ここで千綾が結季奈を元気づけるためにみんなを舞妓体験に誘います。
特に目立つ心理描写もなく、ごく自然な形で千綾が動いたので気付きにくいかもしれませんが、今まで「何かを許すこと」や「石をあげること」など、受動的であったり既にある程度の流れ(展開)ができた上での優しさは見せたことはありました。
しかし、千綾が自発的に、それもみんなを引き連れてこのような行動をとったのはここが初めてではないでしょうか。
恐らく、今までの道中で、困っている人を見ると放っておけなかった望未を隣で見ていた故の行動でしょう(それが意識的かどうかはともかく)。
Bパートの文句なしに最高なシーンに隠れがちですが、1話~7話までの積み重ねによる千綾の成長が垣間見えた良いシーンだと思います。
千綾のデジカメで美沙の頭の中を覗いて子供時代の二人の回想を見るシーンがありますが、菊志乃(豆千代の母)が二人を探している場所は南禅寺境内にある琵琶湖疏水の水路閣ですね。
その名の通り琵琶湖から京都に水を引くための水路で、明治時代に建造されたものです。
有名な史跡ではありますが、どこかで見たことあるなーと思っていたらブラタモリの第1回で紹介されてたのを思い出しました。
ブラタモリは僕の好きな番組の一つです。
地質学的なことなど小難しいことも多いですが、非常にわかりやすく丁寧に解説されます。
そして何よりタモリが楽しそうに歩き回る姿を見るのが一番楽しいです。
ローリング☆ガールズとはあまり関係ないですが、オススメの番組です。
桜の季節に二人は出会い、イチョウが色づく頃もずっと一緒にギターを弾いていますね。
南禅寺という趣のある場所で季節の移り変わりを描く、短くも美しい回想シーンだと思います。
そんな二人の昔の様子を見た望未たちは、何とか仲直りさせられないかと考えます。
そこで美沙のピック(石)が盗まれる事件が発生し、フェスまで時間がないので望未たちが犯人を捜すことになりました。
豆千代が犯人であることは突き止めますが、既にピックと豆千代のバチは鴨川の底。
望未たちが慌てて拾いに行きます。
鴨川が浅くて助かったね。
その頃、籾山が三十四間堂に忍び込み、酒呑童子と会話をしていました。
酒呑童子の「あんたも宇宙旅行したいクチか?」というセリフがありますが、この酒呑童子という男はどこまで知っているのでしょう。
るろうに剣心でいうところの比古清十郎みたいなジョーカー的存在じゃないんでしょうか。
場面は鴨川に戻り、川底のピックとバチを探す望未たちのところに現れた菊志乃。
モーセかな?
ここで菊志乃が「あのとき美沙に『豆千代を惑わすな』と言ったのは私だ」と伝えることで、全ての謎が解けます。
美沙も、豆千代が舞妓の道から逃げたがっていたことに気付いていたが故のガン無視だったんじゃないでしょうか。
誤解は解け、豆千代はピックを届けるためにステージに向かうことになります。
しかし既に三十四間堂の仏像ミサイルは発射されていました。
さっきまでシリアスでいい話してたのに「清水の舞台から迎撃砲」っていう大変頭の悪い展開を持ってくるのが非常にローリング☆ガールズらしくて最高ですね。
ステージに辿り着いた豆千代が無事にピックを美沙に渡し、いよいよ「STONES」の演奏が始まります。
愛知三重編のラスト同様、語るのも野暮な気もしますが…。
こういうド派手な砲撃戦とバンドのライブの組み合わせの作品って今まであまりなかったのではないでしょうか。
マクロス7とかだとあったりしたのかな?見てないのでわかりませんが…。
ともかくこの砲撃戦はライブを盛り上げるのに最高の演出です。
酒呑童子の「盛り上げてやるよ」という言葉の通りだったわけです。
そしてこれは作画的な話になるのですが、各メンバーの演奏の動きが非常に忠実に再現されてるのが大変素晴らしかったです。
特に半ちゃんのこのカットなどは、クレッシェンド(音を段々と強くすること)まで完璧に表現されていました。
Angel Beats!やハルヒのライブアライブなど、ロトスコープ(実際の人間の動きをトレスする作画法)で徹底的にリアルさを追求した作品はありましたが、いかにもアニメっぽいエフェクト等を使いまくる本作には合わなかったでしょう。
(恐らく)このシーンのコンテから原画まで担当されている江原康之氏のロックへの愛を感じます。
そして豆千代の飛び入り三味線ソロ!
そりゃもう予想通りとしか言い様がないけどこれをやらなかったらもう京都編の意味ないでしょ!ってぐらいのシーンですね。
そもそもこの京都編はストーリー自体も超王道の展開なんですよね。
昔仲が良かった二人が突然の仲違い。しかし実はそれは相手のことを思ってのことだった。そして最後は仲直りしてハッピーエンド!
この最後の最高のステージを気持ちよく見せるためには奇をてらったストーリーは必要なかったと思います。
ある程度の予定調和の中で、それを全て納得させる絵・音楽・演出が完璧に揃ったライブシーンでした。
そして最後に美味しいところを持って行く酒呑童子のアニキ。
僕は敬意を持って「世界一格好良い自作自演」と呼ばせていただきます。
格好良いとしか言い様がないですよ…。
8話総評
序盤のちょっとした良さなんかを語ったりもしましたが、この話数は何をどう考えてもライブシーンが素晴らしかったという褒め方しかできません。
それほどに圧倒的なクオリティでした。
「これぞアニメーション!」というような、ケレン味たっぷりどころかケレン味しかなくてむせかえりそうな演出ですが、それがむしろ最高に心地良いです。
シーン単体としての演出面でこれを超えるような作品が現れるでしょうか。
そんなものが見られるならそれはそれで大変嬉しいことですけどね。